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岐阜地方裁判所 昭和43年(わ)448号 判決 1975年3月29日

本店所在地

岐阜市元町一丁目一〇番地の一

岐阜ヤクルト株式会社

右代表者代表取締役

田中久雄

本籍並に住居

岐阜市城前町二丁目一一番地

会社役員

田中久雄

大正二年六月二日生

右被告人両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官徳永勝出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人岐阜ヤクルト株式会社を罰金二〇〇万円に処する。

被告人田中久雄を懲役六月に処する。

被告人田中久雄に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人岐阜ヤクルト株式会社(昭和四一年九月九日以前は株式会社ヤクルト岐阜工場と称す。以下単に被告会社という。)は岐阜市東材木町三番地に本店を有し(当時)、ヤクルトの製造販売業を営むもの、被告人田中久雄(以下単に被告人という。)は被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、決算書に架空の広告宣伝費、修繕費、消耗品費などを計上し、仮払金を計上しないなど不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、

第一、 昭和三九年一一月一日から昭和四〇年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が二五、三一四、九五二円であり、これに対する法人税額が八、八九五、七〇〇円であるのにかゝわらず、昭和四〇年一二月二八日所轄岐阜北税務署長に対し、被告会社の右事業年度における所得金額が八、八〇二、五三一円であり、これに対する法人税額が三、〇七六、九二〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額五、八一八、七〇〇円を免れた

第二、 昭和四〇年一一月一日から昭和四一年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が二六、六〇三、七〇八円であり、これに対する法人税額が九、二八六、五〇〇円であるのにかかわらず、昭和四一年一二月二七日所轄岐阜北税務署長に対し、被告会社の右事業年度における所得金額が一三、〇九五、六二八円であり、これに対する法人税額が四、四二三、八五〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額四、八六二、六〇〇円を免れたものである。(別紙第一ないし第六表参照)

(証拠の標目)

判示事実全般について

一、 被告会社代表者並びに被告人(以下証拠の標目中の記載においては被告人と略記する。)の当公判廷における供述

一、 証人平田登及び同飯島功一の公判廷における各供述

一、 第一四回公判調書中の被告人の供述部分

一、 第五ないし第七回公判調書中の証人飯島功一の各供述部分

一、 第八回公判調書中の証人吉田銘一の供述部分

一、 第九回公判調書中の証人高木旻の供述部分

一、 第一一ないし第一三回及び第一五回公判調書中の証人平田登の各供述部分

一、 被告人の検察官に対する各供述調書

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四二年三月九日付、同月一一日付、同月二八日付、同年一一月二七日付、同年一二月五日付、昭和四三年一月二四日付、同年二月一二日付及び同月二七日付)に対する各質問てん末書

一、 被告人作成の上申書(昭和四三年二月二日付)二通

一、 吉田銘一の検察官に対する供述調書

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 飯島功一の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 平田登作成の昭和四七年二月二三日付「仮受金に関する説明書」と題する書面

一、 東海銀行岐阜駅前支店西川公子作成の預金証明書

一、 岐阜商工信用組合本店吉村義彦作成の昭和四二年九月八日付預金証明書

一、 大垣共立銀行岐阜支店坂口美代子作成の同年五月一日付預金証明書

一、 同支店杉原善弥作成の昭和四三年二月二六日付預金証明書

一、 登記官作成の昭和四二年一二月五日付及び同月一九日付各登記簿謄本

一、 岐阜ヤクルト株式会社別口預金明細二綴(昭和四四年押第四七号の一二、一三)

一、 元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

一、 役付手当明細一綴(同押号の二五)

一、 株式会社ヤクルト岐阜工場申告書控一綴(同押号の二六)

判示第一の事実について

一、 高木旻の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 岐阜北税務署長作成(昭和四〇年一二月二八日申告分)証明書

一、 伊藤化学工業株式会社代表取締役伊藤政弘作成の上申書

一、 大河内紙業株式会社経理係西沢五郎作成の上申書

一、 北谷利雄作成の上申書

一、 決算関係綴四綴(前同押号の一ないし四)

一、 元帳三綴(同押号の五ないし七)

判示第二の事実について

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四三年二月一日付及び同月九日付)に対する各供述調書

一、 吉田銘一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 高木旻の大蔵事務官(昭和四三年二月二日付)に対する質問てん末書

一、 岐阜北税務署長作成(昭和四一年一二月二七日申告分)の証明書

一、 名古屋相互銀行岐阜駅前支店小林律子作成の昭和四三年三月一四日付証明書

一、 大蔵事務官(昭和四四年一月三〇日付)作成の調査報告書

一、 岐阜商工信用組合加納支店長尾憲幸作成の昭和四三年一二月五日付証明書(小切手写添付のもの)

一、 中央相互銀行岐阜支店熊谷恒二作成の同月四日付証明書(小切手写添付のもの)

一、 名古屋相互銀行岐阜駅前支店湯浅鉦三作成の同日付証明書(小切手写添付のもの)

一、 決算書類(四一年一〇月期分)一綴(前同押号の一六)

一、 元帳二綴(同押号の一七、一八)

一、 小切手帳写二綴(同押号の一九、二〇)

のほか

別紙第二表(判示第一事実関係)ほ脱所得損益計算書の各項目について

(イ)給料及び手当

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四三年一月二四日付)に対する質問てん末書

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 押収してある決算関係綴一綴(前同押号の一)、元帳(四〇年度<2>)一綴(同押号の七)、元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)及び役付手当明細一綴(同押号の二五)

(ロ)広告宣伝費

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 池田裕治作成の上申書

一、 大蔵事務官宮内正俊作成の調査報告書(昭和四三年一一月付)

一、 押収してある決算関係綴一綴(前同押号の一)、元帳(四〇年度<2>)一綴(同押号の七)、冷蔵庫控一綴(同押号の八)冷蔵庫(ショーウインド)設置店舗控一綴(同押号の九)、冷蔵庫(ショーケース)納入先記入控一冊(同押号の一〇)ショーケース借用証書一綴(同押号の一一)、請求書(四冊)一綴(同押号一四)、仮領収証一冊(同押号の一五)及び元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

(ハ)修繕費

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 押収してある決算関係綴一綴(前同押号の一)、元帳(四〇年度<2>)一綴(同押号の七)及び元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

(ニ)旅費交通費

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 押収してある決算関係綴二綴(前同押号の一、二)、元帳(四〇年度<2>)一綴(同押号の七)及び元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

(ホ)消耗品費

一、 高木旻の検察官に対する各供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 押収してある決算関係綴一綴(前同押号の一)、元帳(四〇年度<2>)一綴(同押号の七)及び元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

(ヘ)収入利子

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四三年二月一二日付)に対する質問てん末書

一、 被告人作成の上申書(昭和四三年二月二日付)二通

一、 東海銀行岐阜駅前支店西川公子作成の預金証明書

一、 中央相互銀行岐阜支店野原勉作成の昭和四二年九月二五日付預金証明書

一、 岐阜商工信用組合本店吉村義彦作成の預金証明書(昭和四二年九月八日付、同月一八日付)二通

一、 大垣共立銀行岐阜支店坂口美代子作成の預金証明書

一、 同支店杉原善弥作成の預金証明書

一、 押収してある岐阜ヤクルト株式会社別口預金明細二綴(前同押号の一二、一三)

(ト)雑損失

一、 池田裕治作成の上申書

一、 三共販売株式会社名古屋営業所佐々福代作成の回答書

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四三年一一月付)

一、 押収してある冷蔵庫控一綴(前同押号の八)、冷蔵庫(ショーウインド)設置店舗控一綴(同押号の九)、冷蔵庫(ショーケース)納入先記入控一冊(同押号の一〇)、ショーケース借用証書一綴(同押号の一一)、請求書四冊一綴(同押号の一四)及び仮領収証一冊(同押号の一五)

(チ)未納事業税

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四三年三月六日付)

別紙第五表(判示第二事実関係)ほ脱所得損益計算書の各項目について

(イ)広告宣伝費

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある決算書類(昭和四一年一〇月期分)一綴(前同押号の一六)及び小切手帳耳一五冊一綴(同押号の二〇)

(ロ)燃料費

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある小切手帳耳一八冊一綴(前同押号の一九)及び同一五冊一綴(同押号の二〇)

(ハ)交際費

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある小切手帳耳一八冊一綴(前同押号の一九)

(ニ)雑費

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある小切手帳耳一八冊一綴(前同押号の一九)及び同一五冊一綴(同押号の二〇)

(ホ)修繕費

一、 高垣清志の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある決算書類(四一年一〇月期分)一綴(前同押号の一六)、小切手帳耳一八冊一綴(同押号の一九)、同一五冊一綴(同押号の二〇)、金銭預金出納帳(四一年度)一冊(同押号の二二)、手形受払帳一冊(同押号の二三)及び決算資料綴一綴(同押号の二四)

(ヘ)消耗品

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四四年一月三〇日付)

一、 押収してある決算書類(四一年一〇月期分)一綴(前同押号の一六)、小切手帳耳一八冊一綴(同押号の一九)及び小切手帳耳一五冊一綴(同押号の二〇)

(ト)収入利子

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四三年二月一二日付)に対する質問てん末書

一、 被告人作成の上申書(昭和四三年二月二日付)二通

一、 東海銀行岐阜駅前支店西川公子作成の預金証明書

一、 岐阜商工信用組合本店吉村義彦作成の預金証明書(昭和四二年九月八日付)

一、 大垣共立銀行岐阜支店坂口美代子作成の預金証明書

一、 同支店杉原善弥作成の預金証明書

一、 日本勧業銀行栄町支店安藤登作成の預金証明書

一、 名古屋相互銀行岐阜駅前支店日下洋子作成の預金証明書(昭和四二年八月一七日付)二通

一、 岐阜商工信用組合加納支店亀山一美作成の預金証明書

一、 第一銀行大須支店辻井和雄作成の預金証明書

一、 押収してある岐阜ヤクルト株式会社別口預金明細二綴(前同押号の一二、一三)

(チ)給料

一、 被告人の大蔵事務官(昭和四三年一月二四日付)に対する質問てん末書

一、 押収してある役付手当明細一綴(前同押号の二五)

(リ)租税公課

一、 大蔵事務官作成の調査報告書(昭和四三年三月六日付)

(ヌ)雑損失

一、 吉田銘一の検察官に対する供述調書

一、 高木旻の検察官(昭和四三年一一月六日付)に対する供述調書

一、 同人の大蔵事務官(昭和四二年三月二八日付)に対する質問てん末書

一、 飯島功一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 岐阜北税務署長作成(昭和四〇年一二月二八日申告分)の証明書

一、 押収してある決算関係綴一綴(前同押号の二)及び元帳(四一年度(2))一綴(同押号の一八)

(法令の適用)

一、 被告人について

(判示各事実につき) 法人税法一五九条一項

(刑種の選択) 各懲役刑選択

(併合加重) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

(刑の執行猶予) 同法二五条一項

二、 被告会社について

(判示各事実につき) 法人税法一五九条一項、一六四条一項

(併合加重) 刑法四五条前段、四八条二項

三、 右両名について

(訴訟費用の負担) 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 吉田昭)

第1表

修正損益計算書

自昭和39年11月1日

至昭和40年10月31日

<省略>

<省略>

第2表

ほ脱所得損益計算書

自昭和39年11月1日

至昭和40年10月31日

<省略>

第3表

脱税額計算書

自昭和39年11月1日

至昭和40年10月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

第4表

修正損益計算書

自昭和40年11月1日

至昭和41年10月31日

<省略>

<省略>

第5表

ほ脱所得損益計算書

自昭和40年11月1日

至昭和41年10月31日

<省略>

第6表

脱税額計算書

自昭和40年11月1日

至昭和41年10月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

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